2003年4月号 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「藤堂高虎一代記」が大好評 〜出世物語に市民も感動〜 3月15・16の両日、津リージョンプラザお城ホールで、“藤堂高虎一代記”が上演され、ともに満員の盛況でした。地元の西田久光氏が脚本を書き、「劇団津演」が演じました。 津クラブメンバーも熱演
また、芝居のなかで煎餅屋の伊藤雅之助(L伊藤雅朗)、材木屋の河村正兵衛(L河村正美)、金物屋の宮田太郎兵衛(L宮田太郎)や近藤津市長が出演、芝居に花を添えました。
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YE担当例会がなぜかカラオケ大会 2月度第2例会(2月28 日)は、YE国際関係(L長谷川信委員長)の担当で夜間例会が開催されました。
次期役員が決定 先の3月28日の指名例会及び選挙例会において、下記の通り次期役員が決定しました。
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■連載■ |
エンマ堂の閻魔大王
「さあ、覗いて見な」と促されて、20B四方の小窓からお堂の中を覗き込むと、暗闇の中に目を見張り、恐ろしい形相でにらみつける黒い像があった。「怖いぞ怖いぞ」「嘘をつくと舌を抜かれるぞ」「悪いことをすると地獄に落とされる」「怖いぞ怖いぞ」とまるで子どもが怖がるのを楽しむように、大人達は子どもに恐怖感を無理強いしている姿をよく見かけた。
津市下弁財町にある天台宗阿古木山眞教寺は、ご本尊が閻魔大王であるところから、お寺であることをすっかり忘れられて、エンマ堂の名で有名である。
眞教寺は、慶長19年(1607年)津藩二代藤堂高次公が建立したと伝えられている。 この地は、伊勢街道沿いで、ちょうど津の城下への南の入口にあたり、悪霊や疫病が津の町に入らないようにとの願いもあって、天和2年(1682年)閻魔大王坐像が据えられたと伝えられている。
眞教寺の閻魔さんは、各地にある閻魔大王像のなかでも、群を抜いて大きい閻魔像で、約2mあり、津市の文化財に指定されている。
勧善懲悪の教え
「エンマ」とは、冥界を支配する死の神の名称で、インドの古代、サンスクリット語の「ヤマ」の音写だと言われる。「ヤマ」とは「罪人を縛る」の語義で、苦楽ふたつの報いを受ける、罪悪をやめる、いさかいをやめる等を意味する。眞教寺のエンマさんの向って右手前には、天秤ばかりがある。右側の皿の上には分銅代わりの山状のものが置かれ、左側には人間の小像が置かれている。そしてその天秤は、左側に傾いているのである。つまり人間の罪は山よりも重いことを示唆している。
また、「脱衣婆」と呼ばれる像がある。死者の衣服を剥ぎ、剥いだ衣服の重さで死者の罪の軽重を決めるのだという。「羅生門」で死者の衣服を剥いでいた老婆の姿をほうふつさせる。エンマさんは、善を勧め、悪を懲らしめる勧善懲悪の世俗の教えの象徴である。生きとし生ける者の罪を監視し、死者の罪を判断する裁判官のようなものである。
え体の知れないエンマさん
「エンマさん」の出生の秘密は、インドの古代、ウパニシャッド哲学にあるらしい。その後、仏教に育てられた。エンマさんは仏教では、餓鬼界の主、地獄界の主とも言われ、地蔵菩薩の化身とも言われる。その住むところ、その役割など諸説紛々ではあるが、おおよそ勧善懲悪の審判官であるというのは、諸説に共通している。
エンマさんは、さらに道教の影響を受けている。そのことが、エンマさんをいっそうえ体の知れないものにしている。エンマさんは、その姿や形は道教の像に近似しており、仏像の形からはやや遠い。中国では、道教の思想と結合して、エンマさんは冥府で死者の罪業を裁く十王のひとつに数えられている。
ともあれ「エンマさん」は今もなお、目を見張り恐ろしい形相で現代に生きるわれわれの言動を監視している。「嘘をついたら舌を抜かれる」「悪いことをしたら地獄に落ちる」という基礎的道徳の周知には、改めて「エンマさん」の力を借りなければ成らない時代なのかも知れない。
ところで、眞教寺には、円空の十一面観音立像がある。円空の作った仏像には、ナタ一丁で削った荒々しさ、力強さがある。お盆にはお堂が開放されるので、その際、一見されるとよいだろう。(L久米宏毅・記)